2015/11/04 21:56

はじめまして!

鳥取荒神神楽研究会会長の徳林亜美です。

わたしたちは平成23年に結成した任意団体で、神楽や神話、地域伝承の研究を行っています。


平成25年には伝統芸能団体「江府町下蚊屋(さがりかや)荒神神楽保存会明神社」の協力と指導のもと神楽団を創設し、神楽を広めるための神楽として、少人数、短時間のわかりやすい神楽を、神楽を知らない人に向けて実演しています。


昨年は地域イベントや祭り、神事奉納などで74回の神楽公演を行い、今年は10月末時点ですでに80回以上の神楽公演を行うことができました。

また、テレビや新聞にも頻繁に取り上げていただき、先日はクラウドファンディングに挑戦して、目標額の220%を集めることができました。


こうして順風満帆に見える活動ですが、最初からうまくいったわけではありません。

それでは、鳥取荒神神楽研究会のストーリーについてお話しようと思います。


お金も人脈もない20代女子の挑戦


わたしは高校の部活で神楽と出会い、夢中になり、全国各地で神楽を舞い、韓国や台湾での海外公演も経験しました。

三年生のときには部長も努めることができました。


しかし、卒業して就職すると神楽ができる環境は無く、また、まわりの人の多くが神楽を知らないという現実にショックを受けました。

わたしの住んでいる地域には神楽社中が無く、おしえてもらえる環境も、神楽の道具もありません。


ですが、わたしはいつか自分たちで神楽をやるんだと決意し、まずは神楽のことを知ること、そしてまわりの人に伝えることからはじめようと鳥取荒神神楽研究会を立ち上げたのです。


21歳のときでした。


お金も人脈も無いスタートに、話を聞いた人はみんな無理だと笑いました。

でも、わたしはわたしを信じていました。


神楽を知らなかった自分を知った研究活動


研究会では定期的な勉強会を行いました。

また、古事記の研究者の方の協力を得て、神楽の演目のもとになっている神話の勉強会も開催するようになりました。

これらの研究活動で、自分が神楽のことを知らなかったことがわかりました。

高校の部活で、演劇やミュージカルのように神楽に取り組んでいたわたしは、神楽がそういったものではないということがわかってきました。


荒神神楽は原始より続く祈り


太古の昔、人は狩猟や農耕で生きていました。

台風や日照りなどの自然の驚異、生命を脅かす疫病などの災厄をおそれ、それら人の力ではどうにもならないものを荒神(こうじん)として祀りました。

やがて生命の根源として火や水なども荒神として祀られ、その神慮を慰めるものとして荒神神楽が行われました。

時代が流れて文明が発展してくると、人と神が共に楽しむ祀りの神楽、そして娯楽としての芸能性の高い神楽などが舞われるようになりました。


たとえば有名な石見神楽などはショーとしてエンターテイメントとして、娯楽性がとても高いものとなっていますが、それでもその根底に流れているのは神事であり神への祈りなのです。

社会が多様化してわかりにくくなっていますが、数千年以上もの日本人の暮らしの中心にあった祈りの形、それが現代の神楽にも息づいているのです。


そして、中国山地の山間部の集落では、まだそういった荒神神楽が、昔ながらの形で伝承されているのです。

研究会活動で、こういったことがわかってきました。

そういった研究活動を続けていく中で、少しだけまわりが変化しました。


伝統芸能神楽社中から神楽をやりなさいの声が!


鳥取県日野郡江府町下蚊屋(さがりかや)集落には、無形民俗文化財の神楽社中「下蚊屋荒神神楽保存会明神社」があります。

集落の人だけで250年以上伝承している荒神神楽は、とても勇壮華麗です。

神楽は集落の秘技であり、隠された神事でした。


はじめて会ったときは、「神楽は集落のものだ。おしえられんぞ!」と強く警戒されました。


しかし、何度も通い、お酒を飲んだり話したりするうちに、「あんたらはいつになったら神楽をするんだ?」「おしえてやるから神楽をやりなさい」と態度が変化したのです。


コンパクトな神楽が求められていた


わたしたちの活動する鳥取県西部の平野部都市部では、神楽は伝承されていません。

そういった神楽を知らない人たちは、高度な伝統芸能の神楽はむずかしすぎることがわかりました。

小さなイベントや宿泊施設の宴席の余興、狭い場所でもできるような、短時間で少人数の神楽のニーズがたくさんあることがわかりました。


このことを下蚊屋荒神神楽保存会明神社さんに相談したところ、「自分たちは神事であり伝統を背負っているからそういうイベント的な神楽はできない、おしえてあげるからあんたらがやりなさい」ということになり、一時間半の演目の一場面、大国主命が舞って福の種をまくという、およそ10分の神楽を監修・指導していただくことになったのです。


そこからは必死でした。


鳥取県の補助金を申請し、応援していただける方からの寄付を集めて衣装と道具を揃え、ついに神楽団を創設することができたのです。


神楽による地域活性化の取り組み


神楽を行うだけでなく、神楽と神話や史跡を組み合わせた旅行ツアーの企画、地域の農事生産組合と協力して、神話伝承の地での農産物の栽培と特産品作りなどにも取り組みはじめました。

岡山県の備中神楽北山神能社や、広島県庄原市の比婆荒神神楽社などとも交流がはじまり、神楽をおしえていただくようになりました。

応援してくれる方も増え、メディアにも多く取り上げられました。

くわしくは、こちらの鳥取荒神神楽研究会公式サイト( http://kagura.kaiz.asia/ )をご覧下さい。


そうして活動がスケールアップしていく中で、今回のネットショップの開設となったのです。


神楽活動の継続と発展のために!


神楽は儲かりません!


働きながらの研究会活動であり、商業活動ではないのですから当たり前かもしれませんが、衣装や道具は高額で、揃えることは簡単ではありません。

応援してくれる方が増えて、さらなる活動に飛躍しようと考えたとき、どうしても問題となってくるのは活動資金です。

技量を磨いて新しい演目ができるようになっても、衣装と道具がなければ神楽は舞えません。


そこで、わたしたちは活動の継続と発展のための資金獲得のために、この鳥取荒神神楽研究会公式オンラインショップを開設するに至ったのです。

助成金などもあるだろうと言われる方もおられますが、できるだけ自立した活動を目指したいのです。


たとえば今回はこのようなポストカードセットを作りました。


5枚で500円のポストカードセットですが、この利益で神楽道具購入などの活動資金にさせていただこうという取り組みです。

20代の若者が9人で思考錯誤している取り組みであり、伝統芸能である神楽を広めていこうという難解な挑戦です。


どうか、わたしたちの挑戦を応援してください!


鳥取荒神神楽研究会 神楽団 一同